発売の経緯

  02年に自家製粉を啓蒙するホームページ「石臼そばの館」を立ち上げた当時は、手碾石臼が欲しい方に臼工房を紹介していましたが、「高すぎるので手頃な石臼を開発して欲しい」との要望が強く、約1年かかって家康を開発しました。その後家康の使用者から「重いので電動を」との要望があり、開発して05年の「大江戸そば祭り」に出展しました。その直後からステンレスの暴騰に見舞われ、発売時期を模索していましたが、棒上げの末端市況が07年9月に踊り場にさしかかったのを機に、発売に踏み切りました。
  この間、多くの方に一方ならずお世話になりました。ホームページ「石臼そばの館」を立ち上げた直後に、粗碾生粉水打ちで有名な「石碾屋」さんから激励のメールを頂戴しました。甘えて石臼のモニター、粗碾生粉打ちの手ほどきなどをお願いし、鳥海山一帯のご案内までして頂きました。
 石臼シンポジウム主宰の同志社大三輪先生からは毎年お声をかけて頂きました。
  04石臼シンポジウムでお会いした京都茶研OBの大西様には貴重な論文の数々を頂戴し、私の目を覚まして頂きました。その後訪問した京都茶研の方々にも沢山の教唆を頂きました。
 大手の工場で千数百台の茶臼が毎分約55回転、50℃で稼動している様は壮観で、そば臼の後れを痛感した次第です。
  「小さな石臼」シリーズは、これら多くの方々のご指導の賜物です。心から感謝申し上げます。ご恩返しは、約90年※の後れの幾分かでも茶臼に追いつく事と心得ます。※

  ※ 蕎麦臼の世界は抹茶臼の世界に比べ、はるかに後れています。一例を挙げれば、茶臼の最適運転温度は50℃と解明されており、すべての抹茶工場は京都以外の産地を含めて同じ様に操業されています。これに対し、蕎麦臼の最適運転温度は定説が無く、手碾も含めて群盲象を撫でるが如く右往左往しているのがそば臼の現状です。

  (解明されて)いる、いないの差は分数では無限大ですが、後れの最大原因である公的研究所の有無の期間約90年を後れの期間と表現しました。」

 そば製粉所で、人肌に暖まってゆっくり回りながら、しっとりした粗挽き粉を吐き出す大臼。これを飽かず眺めて、何とかこんな粉を挽きたいと思う執念が生んだ新しい技術の石臼です。

 直径1尺以下の石臼に、重石を載せて高さを増し、回転を速めて直径を増して、どの臼にも数百
Kgの大臼に匹敵する性能を持たせました。
                                                   
2007年12月16日 臼屋 蕎友